以前の記事で「キャリアップ助成金(正規雇用等転換コース)がどんな内容か?」と、そのQ&A(一部抜粋)をお送りしましたが、今日はその続きをお送りします。(このQ&Aは泉による完全オリジナル)今回はより具体的な内容、「こういうケースで助成金は出るの?」というものも含んでいますので、ぜひ参考にしてください。
Q ウチには正社員と呼ばれる人が3名、パートが5名いるが、正社員は「時給制」でボーナスの対象にもしていない。パートを今いる正社員と同じ扱い(時給制でボーナス対象外)にすれば、この助成金がもらえるの?
A 残念ですがもらえません。正社員かどうかは呼び方ではなく「実態(内容)」で判断されるからです。貴社の場合は、そもそも正社員と呼んでいる3名が「(ボーナスの対象外だから)正社員ではない」と判断されるため、その3名と同じ扱いにしても助成金はもらないでしょう。以前の記事で回答した「4つの要件(契約期間、賞与、月給制など)」を満たさないと正社員と判断してもらえませんのでご注意を。
Q 雇入れから6ヶ月たった後に正社員に転換すればすぐにもらえる?
A すぐにはもらえません。正社員に転換し、さらに6ヶ月以上経過して初めて支給申請が出来ます。申請から約4ヶ月で御社が指定した銀行口座に振り込まれます。 通常2ヶ月程度で支給なのに4ヶ月なのは窓口が混んでいるから、つまり、多くの会社が利用している助成金という証拠です。
・非正規で6ヶ月以上
・正社員に転換して6ヶ月以上
の、合計1年以上は雇用しないといけません。
Q どんな会社でも対象になるの?
A ひとことで言うと、「悪い事をしていないフツウの会社さん」なら大丈夫です。
Q 悪い事って?
A 具体的には、
・助成金を不正受給した事がある
・労働保険料(労災・雇用保険)を納めていなかった年がある
・労働保険(労災・雇用保険)関係で違反を行った事がある
という事です。これらに該当する場合はNGとなりますので、気になる場合は事前にご相談ください。
Q この助成金は会社の業種は問わないの?
A ほとんどの会社は大丈夫と言えますが、
①性風俗関連営業(ソープランド、メンズヘルス等)
②接待を伴う飲食等営業(キャバクラ、スナック、ホストクラブ等)
③暴力団と関わりがあると判断される会社
に関連する事業に関してはNGです。
Q じゃあアダルトDVDショップはNGなの?
A 残念ですが、先ほどの回答「①性風俗関連営業」に該当しますのでNGとなります。(「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の中に規定された業種はNGです)
Q エステサロンとか、接客業はダメなの?
A 「接”客”」と「接”待”」は異なりますので、問題ありません。ただし、男性専用のマッサージなど、「性風俗の要素を含む接客」だとNGの可能性があります。個人的な意見を言うと、『性風俗だって立派な仕事じゃないか!!』と思うんですが、問い合わせたところ「暴力団の資金源になりやすいから」という回答でした。なるほどね。
Q イタリアンレストランは飲食営業業だからNG?
A 問題ありません。NGなのは「接待を伴う飲食等営業」です。通常のレストランなら接待が伴う事はないはずですので、ご安心ください。
Q ウチで5年アルバイトをしてくれている人がいるんだけど、アルバイト期間が長すぎると助成金はもらえないの?
A 非正規の期間は”6ヶ月以上”なので、1年でも5年でも10年でも問題ありません。ただし、正社員じゃなくて「無期雇用労働者」に転換する場合は非正規期間が長すぎるとNGです。
Q じゃあ、そのアルバイトさんをすぐに正社員に転換したら助成金がもらえるってこと?
A 正社員に転換する前に「キャリアアップ計画書」をハローワークに提出する必要があります。あとは転換前に就業規則で転換に関するルールを定める必要もあります。
Q 2014年1月から1年間アルバイトで、2015年1月から正社員にした人がいるんだけど、この人は助成金の対象になるの?
A 計画書は出しましたか?出していなければもらえません。やはり正規雇用に転換する前にハローワークに「計画書」を提出し、労働局の認定通知を受けた後で転換する必要があるからです。
Q 事前に計画届を出して、パートから正社員に転換した社員がいるんだけど、今になってパート時代に残業手当を支払っていなかった事が分かった。この場合でも助成金はもらえる?
A もらえない可能性があります。助成金の趣旨は「労働者の雇用の安定や労働環境の改善」にあるので、その趣旨が守られていないと判断されるかもしれません。場合によっては「過去にさかのぼって残業代を支給」する必要も出てくるかもしれません。
Q じゃあ正社員に転換した後だったら残業代を支給しなくてもいいの?
A 正社員転換後も残業代は支払ってください。立場がパートでも正社員でも、労働者である事に違いはありません。残業代が不払いだと助成金がもらえない可能性もありますし、場合によっては厚生労働省や労働基準監督署から是正勧告がされる場合があります。(助成金をもらえないだけでは済まないという意味です)